司法書士 山下晋広 事務所

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隔地者間での遺産分割協議

離れた場所に居る親族と「遺産分割協議」をするには、どうしたらよいのでしょうか?

今回はそのことについて、述べてみたいと思います。

 

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【遺産分割協議とは】

 共同相続人は、被相続人が遺言書で遺産分割協議を禁止している場合等を除き、遺産分割協議により相続財産の分配をすることができます(民法907条)。

 

【遺産分割協議の参加者】

 この遺産分割協議を行う場合には、全相続人が参加していることが必要です。一部の相続人が参加していない遺産分割協議は無効です。

(そのほか、包括受遺者(民法990条)や相続分譲受者(民法905条)がいる場合は、その者も遺産分割協議の当事者となります。)

 

【遺産分割協議の方法】

 遺産分割協議を行う場合、その協議に全ての相続人が参加していることが必要ですが、必ずしも同じ場所に集まって協議しなければならないわけではありません。

 たとえば、ZoomなどのWebシステムを用いて協議を行うことも可能であると考えられます。家庭裁判所における遺産分割調停も「電話会議システム」を利用しての調停が行われています(家事事件手続法54条・258条1項)。)

 この場合においては、相続人全員が協議の最初から最後まで参加していることを必ず確認してください。

 

【遺産分割協議書の作成】

 遺産分割協議書には、被相続人の本籍・住所・氏名・死亡年月日、全相続人の住所・氏名、協議内容を記載し、全相続人が実印で押印をすることになります(全相続人の印鑑証明書も用意することになります)。

 この遺産分割協議書は、一通の用紙に相続人全員が連名で作成することも出来ますし、同一内容のものを相続人の人数分作成し、それぞれの相続人が押印する方法によることもできます。

 なお、遺産分割協議書の記載方法に不備があると、その協議に基づく不動産登記手続ができなくなってしまったりすることがございますので、くれぐれもご注意ください。

 また、金融機関などにおいては、独自の形式による書面に押印を求めることがあります。遺産分割協議書を作成する前に金融機関に問い合わせて、必要書類を事前に確保しておくことをお勧めします。そして、作成した遺産分割協議書と共に、それらの書面に各相続人が署名・押印をすることで、二度手間を避けることができるかと思います。

 

【まとめ】

・遺産分割協議は、全相続人の参加が必要(それに反すると無効)。

一堂に会して行う必要はない(ZoomなどのWebシステムを用いても可)。

・遺産分割協議書の作成には注意を要する(登記ができなくなることも)。

・事前に金融機関等の相続手続書類を取り寄せておく。

 

 

 ご不明なこと等ございましたら、お気軽にご連絡願います。

 何卒よろしくお願い申し上げます。