司法書士 山下晋広 事務所

司法書士山下晋広(やました くにひろ)です。電話03-6265-0191

自筆証書遺言の法務局保管制度

今回は「自筆証書遺言」の「法務局保管制度」について、ご説明させて頂きます。

 

1.結論

 最初に結論からお伝えいたしましょう。

 「自筆証書遺言の法務局保管制度」を利用すると、公正証書遺言のメリットと、自筆証書遺言のメリットの両方をほぼ享受できる、ということです。

 以下、順を追ってご説明いたします。

 

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2.「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」

 遺言書は、通常大きく分けて二種類のものがあります。一つは「公正証書遺言」、もう一つが「自筆証書遺言」です。

 「公正証書遺言」は公証役場で作成してもらう遺言書です。これに対して「自筆証書遺言」は自分で作成する遺言書です。

 この二つの遺言は、簡単に言いますと、それぞれ次のようなメリットとデメリットがあります。

 

3.公正証書遺言のメリットとデメリット

《メリット》

①公証人が作成(形式的無効にはまずならない、検認不要)

公証役場で保管される

③比較的、証明力が高い

 

《デメリット》

①作成にやや時間がかかる

②費用が高い

 

4.自筆証書遺言のメリットとデメリット

《メリット》

①自分で作成できる

②すぐに作成可能

③費用があまりかからない

 

《デメリット》

①相続開始時、裁判所の検認手続きが必要

②形式的無効となり得る

③紛失する可能性がある

④比較的、証明力が低い

 

5.公正証書遺言と自筆証書遺言のメリットとデメリットのまとめ

 上記を簡単にいえば「公正証書遺言はしっかりしたものを作ってもらえるが、時間がかかり費用も高い」、「自筆証書遺言は簡便で費用もあまりかからないが、遺言者の死後に裁判所で検認という手続が必要になり、また、形式違反により無効となることや、紛失してしまうことがある。遺言書の証明力も公正証書遺言に比べれば低い」ということになります。

 つまり「自筆証書遺言」は、簡便ではあるが実用性に不安がある、というものでした。

 この点を改善するのが、2020年7月10日から始まった法務局保管制度です。

 

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6.自筆証書遺言の法務局保管制度

 法務局に対して一定の申請手続きを行うことにより、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになりました。

 この法務局保管制度を用いると、次のようなメリットが生じます。

 

①相続開始時に、検認の手続きが不要になる。

②保管する際に遺言書の要件を満たしていることの確認が必要となるため、結果として「形式的な無効」を回避できる。

③法務局で保管されるため、紛失を避けられる

 

7.自筆証書遺言・法務局保管制度のメリットとデメリット

《メリット》

①自分で作成できる

②比較的早めに作成可能

③費用は比較的安め

検認手続き不要

形式的無効とならない

法務局で保管される(紛失を回避できる)

 

《デメリット》

①法務局に行く必要がある

②法務局の申請手続が必要

③比較的、証明力が低い

 

 つまり、「自筆証書遺言」のデメリットを「法務局保管制度を用いた自筆証書遺言」はほぼ解消してくれることになるのです。

 法務局保管制度を用いても解消されないデメリットは、公正証書遺言に比べると「証明力が低い」という点です。たとえば相続人間で紛争が生じそうな場合には、より「証明力が高い」公正証書遺言を用いた方がよいかもしれません。

 しかし、そのような問題が生じない場合には「法務局保管制度を用いた自筆証書遺言」が有用、ということになりそうです。

 

 ただし、「法務局保管制度を用いた自筆証書遺言」にもデメリットがあります。

 遺言者自らが法務局に行き、法務局担当者に本人確認をしてもらったうえで手続きをとる必要があるため、入院中であるなど、法務局に行くことが出来ない方はこの制度を利用できません。

 

 また、保管手続用の申請書を作成したうえで法務局への事前予約をとらなければならないなど、些か手間がかかります。

 この辺りは当職にてサポートさせて頂くことが出来ますので、どうぞお気軽にご相談頂ければと思います。(事前に自筆証書遺言の作成をサポートさせて頂き、保管手続きの申請・予約、法務局へのお付添等、最初から最後までお手伝いいたします)。

 

8.まとめ 

 今回の民法改正による法務局保管制度がスタートしたのは、遺言書の作成を推進し、相続人間の争いを減少させたいとする国の考えに基づくものです。

 そして「法務局保管制度を用いた自筆証書遺言」は、公正証書遺言と自筆証書遺言の良いとこ取りをした制度である、といえるものです。

 使いやすくなった制度を、是非ご利用されてみては如何でしょうか?

 

隔地者間での遺産分割協議

離れた場所に居る親族と「遺産分割協議」をするには、どうしたらよいのでしょうか?

今回はそのことについて、述べてみたいと思います。

 

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【遺産分割協議とは】

 共同相続人は、被相続人が遺言書で遺産分割協議を禁止している場合等を除き、遺産分割協議により相続財産の分配をすることができます(民法907条)。

 

【遺産分割協議の参加者】

 この遺産分割協議を行う場合には、全相続人が参加していることが必要です。一部の相続人が参加していない遺産分割協議は無効です。

(そのほか、包括受遺者(民法990条)や相続分譲受者(民法905条)がいる場合は、その者も遺産分割協議の当事者となります。)

 

【遺産分割協議の方法】

 遺産分割協議を行う場合、その協議に全ての相続人が参加していることが必要ですが、必ずしも同じ場所に集まって協議しなければならないわけではありません。

 たとえば、ZoomなどのWebシステムを用いて協議を行うことも可能であると考えられます。家庭裁判所における遺産分割調停も「電話会議システム」を利用しての調停が行われています(家事事件手続法54条・258条1項)。)

 この場合においては、相続人全員が協議の最初から最後まで参加していることを必ず確認してください。

 

【遺産分割協議書の作成】

 遺産分割協議書には、被相続人の本籍・住所・氏名・死亡年月日、全相続人の住所・氏名、協議内容を記載し、全相続人が実印で押印をすることになります(全相続人の印鑑証明書も用意することになります)。

 この遺産分割協議書は、一通の用紙に相続人全員が連名で作成することも出来ますし、同一内容のものを相続人の人数分作成し、それぞれの相続人が押印する方法によることもできます。

 なお、遺産分割協議書の記載方法に不備があると、その協議に基づく不動産登記手続ができなくなってしまったりすることがございますので、くれぐれもご注意ください。

 また、金融機関などにおいては、独自の形式による書面に押印を求めることがあります。遺産分割協議書を作成する前に金融機関に問い合わせて、必要書類を事前に確保しておくことをお勧めします。そして、作成した遺産分割協議書と共に、それらの書面に各相続人が署名・押印をすることで、二度手間を避けることができるかと思います。

 

【まとめ】

・遺産分割協議は、全相続人の参加が必要(それに反すると無効)。

一堂に会して行う必要はない(ZoomなどのWebシステムを用いても可)。

・遺産分割協議書の作成には注意を要する(登記ができなくなることも)。

・事前に金融機関等の相続手続書類を取り寄せておく。

 

 

 ご不明なこと等ございましたら、お気軽にご連絡願います。

 何卒よろしくお願い申し上げます。

 

当事務所へのアクセス・連絡先

当事務所への連絡先・アクセス・地図等については、下記ご参照ください。

 

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〒162-0832

東京都新宿区岩戸町16番地メイジャー神楽坂404号(※下記地図ご参照)

 

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【営業時間】

平日(月曜日~金曜日)朝9時30分夕方5時30分まで

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【Eメールアドレス】

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【アクセス】

・地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅(A2出口)から徒歩3分。

地下鉄東西線神楽坂駅(1番出口)から徒歩6分。

JR総武線飯田橋駅(西口)から徒歩13分。 

 

【地図】

 

場所がお分かりにならない場合、お近くまでお越しのうえお電話頂ければ、すぐお迎えにあがります。どうぞお気軽に、ご連絡ください!お待ちしております。

何卒宜しくお願い致します。

 

ブログを開設いたしました。

はじめまして。

司法書士山下晋広(やました くにひろ)です。

 

東京都新宿区に司法書士事務所を開設してます。

開業して16年目となりました。

主な業務は、相続関係手続、企業法務、不動産登記業務、成年後見業務などです。

これらの業務に関連する「お役立ち情報」を、配信していきたいと思います。

少しでも、みなさんのお役に立てればと思っております。

 ではでは、何卒よろしくお願い致します。

 

司法書士 山下晋広(やました くにひろ)

 

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